各種黄斑疾患におけるM-CHARTS^【○!R】を用いた変視症の定量化
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概要
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日常臨床上多くの黄斑疾患では, 視力低下, 中心視野障害のみならず変視症を訴える. 変視症とは, 物がゆがんで見える自覚症状であり, 視力や視野と同様に患者における視機能の質を大きく左右する重要な要因である. しかし, その定量的評価は困難であった. そこで1999年に我々は変視を定量化可能なM-CHARTS^【〇!R】を開発した. 本研究では, このM-CHARTS^【〇!R】を用い, 黄斑疾患の病態と変視量の関係を検討した. さらにM-CHARTS^【〇!R】の変視定量における再現性を評価し検査としての有用性についても評価した. 変視症を認める代表疾患である黄斑円孔および黄斑前膜について, 視力, 視野, M-CHARTS^【〇!R】による縦方向と横方向の変視量の経時的変化を調べ, さらに, 眼底写真および scanning laser ophthalmoscope (SLO) を用いて得られた眼底所見との対応を検討した. 黄斑円孔症例では, 変視量は円孔径よりも fluid cuff の幅に相関を示した. また硝子体手術後に視力より変視量の方が早く改善する症例が多く認められた. 黄斑前膜症例では, 自然経過において黄斑前膜の収縮方向と変視量の変化に相関がみられた. すなわち縦方向の収縮は横線の変視量に, 横方向の収縮は縦線の変視量に関連がみられた. M-CHARTS^【〇!R】の再現性は, 正常眼ではすべての変視量は0であり, さらに黄斑疾患では80%以上で1段階 (1 score) 以内の変視量の変動であり再現性の高い検査であることが示された. M-CHARTS^【〇!R】は, 変視を簡便に定量化可能であり, 黄斑疾患における変視症の経過観察に有用な検査である.
- 近畿大学の論文
- 2004-12-25
著者
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