量子世界における実在論の破綻について(佐藤照子先生追悼号)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ニュートンから始まる,いわゆる古典物理学がその基盤としいている自然観を,"相関"という物理量を計算することにより,今まで人間が常識的に正しいと考えてきた自然観(世界観)を,数値的な範囲で置き換えることが可能となった.そして,この古典物理学が基盤としている自然観の範囲を初めて数式として表現したJ.S.Bellによる論文は,始めアインシュタイン等が提案したEPRパラドックスを擁護する目的で書かれたものだったが,"相関"の概念を量子論にまで拡張して適用すると,古典物理学が満たすべき範囲を超え,人間の常識を超えた自然観を受け入れる必要性があることを導きだした.その結果,それまではあいまいなままにされてきた古典物理学と量子論の決定的な違いを浮き彫りにすることに成功した.ここでは,これまで常識と考えられてきた古典物理学の自然観(世界観)が崩壊し,量子論による世界の二重性,つまり現象界とその裏にある本質の世界の存在について紹介する.
- 2005-03-31