介護における口腔ケア(明倫短期大学 第2回公開講座)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
介護とは生活を支える事である.介護保険法では,その保険の目的を第一条に,以下のように定めてある.「この法律は,加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり,入浴,排せつ,食事等の介護,機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について,これらの者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう,必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため,国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け,その行う保険給付等に関して必要な事項を定め,もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする.」ここには,介護を要する状態となっても,その能力に応じた,自立した生活を営む事と明記されている.自立した生活とはどのような事を言うのだろうか,10人居れば10通りの生活がある.一人一人異なる習慣や環境の中で生きているのである.自立した生活を支えるのが介護の目的であるのならば,多様な人間の生活を支えるための介護は,同じではありえない.自分の生活は,どのように介護が必要になっても自分で主体的にきりまわしたいのが人間の生活であり,その主体性を支え尊重することが,介護における自立支援ではないだろうか.単に口腔ケアというが,ここにおいても,その生活の多様性を支える事に直面する.ここでは,自立をめざした口腔ケアのあり方について,考察したい.