耐久財独占者の下取り取引のインセンティブと時間的非整合性問題 (経済学部50周年記念号)
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概要
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本論文は、耐久財独占市場において、下取り取引が消費者の私的情報を獲得する手段として用いられる場合に、下取り取引の実施が独占利潤及び経済厚生にいかなる影響を与えるかを分析している。先ず、下取り取引を実施する独占者の事後的なインセンティブは、独占者に利益をもたらすことが示される。しかし、全期間にわたる利潤の観点からは、時間的非整合性問題の存在のため、下取り取引の実施が独占者にとって望ましいにもかかわらず、独占者は下取り取引を断念する場合がある。次に、経済厚生の観点からは、下取り取引を実施する独占者の私的インセンティブは社会的に効率的であることが示される。しかし、もし独占者が将来に下取り取引を実施することを事前にコミットすることができる場合には、下取り取引を実施するインセンティブが社会的に過大になることがある。
- 2003-12-16