急性心筋梗塞に対する冠血管形成術におけるモンテプラーゼ先行投与の長期成績
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概要
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急性心筋梗塞の治療では早期に梗塞責任病変を再灌流させることが,短期及び長期予後に非常に有益である.本研究は急性心筋梗塞における冠血管形成術前の血栓溶解剤であるモンテプラーゼの先行投与の有用性を評価するための単一施設での前向き無作為試験である.対象は1998年1月から2003年12月までに入院した連続372例の急性心筋梗塞のうち,発症12時間以内,75歳以下の140例であり,モンテプラーゼ先行投与(27,500 IU/kg)後に冠血管形成術を行った群(M群n=65)と冠血管形成術単独群(P群n=75)に無作為に割り付けた.第一のエンドポイントは2年間の臨床的追跡調査である.入院中の出血性合併症(脳出血,消化管出血,輸血を必要とした出血)はM群で1例にのみ見られた.死亡率は両群間で有意差を認めなかった(M群3.1% vs P群5.3%,NS).心血管イベントの発生率はM群で有意に低率であった(M群27.7% vs P群46.7%,P=0.02).近年の血栓溶解剤の進歩を考慮すると,血栓溶解剤併用の有益性について再評価すべきであると考える.モンテプラーゼ先行投与と冠血管形成術の併用は有効な急性心筋梗塞の治療戦略の一つである.
- 獨協医科大学の論文
- 2005-03-25
著者
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