1943 年から1950 年におけるわが国の普通圧延鋼材の生産と消費 : 厚板と小型棒鋼の場合 (経済学部50周年記念号)

元データ 2003-12-16

概要

本稿の課題は、1943年から1950年までのわが国での鋼材の生産と消費を明らかにすることにある。分析の結果は次の通り。第一、当該期は戦中戦後一貫して、資源配分方式は統制経済方式だったが、戦後の鉄鋼統制には、戦前ではなかった鉄鋼問屋が直接メーカーと交渉できる自主性が検出された。 第二は戦中戦後の鋼材消費の動きを見て行くと、戦中戦後一貫して高消費な小型棒鋼、厚板、線材の三種と、戦後消費が伸びる薄板、鋼管、小型形鋼、帯鋼、珪素鋼板の八鋼材が見いだされた。第三に、小型棒鋼、厚板の生産の実体を分析した。厚板は、戦中戦後を通じて一貫メーカーの寡占品種ということが分かった。小型棒鋼生産では戦後戦中には見られなかった再生圧延業者による生産が顕著で、それらが広島県鞆町、大阪府大正区、港区、東京都江東区に集積していることが分かった。これら小型棒鋼再生圧延業者の生産活動には鉄鋼問屋の存在が必要不可欠である。つまりこれら小型棒鋼再生圧延業者の活発な生産活動は、(1)戦前の統制から戦後統制への制度的変遷によって、(2)戦後復興による小型棒鋼の高需要によって、(3)戦後のスクラップの大量発生によって、もたらされたと考えられる。

著者

長谷部 宏一 富山大学経済学部

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