南スラウェシ州の絹産業 : 西ジャワ州絹産業との比較
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概要
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本稿は,南スラウェシ州絹産業の特徴を西ジャワ州の絹産業と比較することによって明確にし,インドネシア絹産業の構造を明らかにすることを目的とする。南スラウェシ州の絹産業は,小規模工場が地場産繭を原料に在来器で製糸し,家内工業の織り子が伝統衣装の生産をおこなっていたが,1990年代後半から大規模工場が輸入中国糸と化学繊維を原料に自動織機を使用してジャワ島向けに絹地を生産し始めた。 西ジャワ州の絹産業は,1990年代前半に大規模製糸工場が設立されたことで原料繭供給のために養蚕農家の育成が始まり拡大した。ところが,工場は地場産繭の生産量不足と中国糸との価格競争によって,2003年に操業を停止した。西ジャワ州絹産業の拡大の発端となった大規模製糸工場の閉鎖後,工場に繭を供給していた農家組合は,原料繭調達から製糸・織布生産を開始し,組合での一貫生産を目指している。しかし,組合が生産する絹地は,南スラウェシ州の絹地よりも高価なためバティック素材の販売において苦戦を強いられている。インドネシア絹産業の発展のためには,絹市場全体の拡大と絹の品質に応じた市場の棲み分けが重要である。
- 2006-06-08
著者
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