金屬セメンテーション機構に關する研究 : Niに對するMoセメンテーションの研究
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概要
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セメンテーションは金屬材料の表面に他金屬を被覆する方法の一つで,被々覆材料を被覆金屬粉で包み,被覆金屬蒸氣を被々覆材料中に擴散せしめる方法である.滲炭法,窒化法等も之に屬するがNiに對するMoの如く,被々覆材料が被覆金屬より遙に大きい蒸氣壓を有する場合にも,將してセメンテーションを完行し得るものであるか.H. A. Jones氏に依るMo及びNiの蒸氣壓から推定すると,1000〜1200℃に於けるMoの蒸氣壓(p)及びNiの蒸氣壓(p')は大體,次の如くなる.1000℃ 1200℃ p 10^<-12> 10^<-10> p' 10^<-6> 10^<-4>本研究は如此條件に於けるセメンテーションの機構を研究し,金屬被覆の一指針を示したものである.Moセメンテーションの實驗は公にされたもの少く,鐵鋼に對して行つたM. J. Laissus氏及び加瀬博士によるものを知るのみである.Ni棒をMo粉末中に埋め,水素中で普通に加熱したのでは,加熱温度,加熱時間,擴散劑等の,條件を變化しても完全なセメンテーション被覆は出來ない.顯微鏡及びX線的に研究した結果, Niの表面にMoがセメンテートする量は,温度に比例して大となるが,然し臨界温度(1150℃)以上では,Niのみが逆に, Moの方へ擴散するのである.この臨界温度以下のセメンテーションでは,セメンテーション時間が9時間位で被覆が不十分のまゝ飽和状態となる.完全な被覆を行ふには2段加熱法によらねばならない.2段加熱法とは臨界温度以下(例へば1100℃でセメンテートさせ,然る後臨界温度以上に於て行ふ方法である.かくて得られた,試料のX線的研究によれば,表面は純Moとなり,以下0.22mmの厚さ迄, Moの滲透が見られる(Fig.28參照).此如,2段加熱法に從へば蒸氣壓の大なる金屬に,蒸氣壓の小なる金屬をセメンテートさせるのは可能であると推察出來る.純Niの臨界温度は1150℃であり, Fe, Cr, Cuを添加すればこの温度は上昇する.
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