熱層近似の方法 : 熱伝導・熱弾性問題の近似解法
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
固体表面が急激に加熱される場合,その初期において熱は表面から限られた深さしか拡散せず,いわゆる熱層が形成される.これは粘性流体における境界層と類似の概念で,T. R. Goodmanによって提案され,さらに運動量積分と類似の熱平衡積分と結びつけて熱伝導の近似解析に用いられる.本論文はまず熱層概念の理論的根拠を二つの面から示す.一つは境界層とのアナロジー,一つは粒子のBrown運動の確率過程で,共に数学的にFourierの方程式と等価なものである.次に熱層近似の方法の一般的操作を提示し,厚板,円筒,遮熱被膜等の解を得る.次に熱弾性問題の領域における熱層近似の方法の応用性を検討した結果その有用性が認められるので,熱応力,熱衝撃,熱変形及び急速加熱による振動等の問題が解析される.この方法の容易さ,そして解の明白で物理的直観に沿っている点は,熱伝導,熱弾性問題における広い応用性を暗示するものである.
- 宇宙航空研究開発機構の論文