ODA が実効性を持つための一試論 : モロッコ・イムスワンを手がかりに
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概要
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本稿は、フランス法を素材に労働条件変更法理の最近の展開について検討したものである。フランスでは、集団的規範による労働条件変更が柔軟化されている一方で、個別的規範である労働契約上の労働条件変更については、労働者の個別的同意を厳しく求める判例法理が形成されている。こうした判例法理は、状況変化への対応という企業側の利益と既得権保護や基本権保障という労働者側の利益との調整において、一定の修正を余儀なくされてはいるものの、民法典に規定された意思自治原則の影響のもとで、今日においても契約の重要性を強く意識しつつ展開されている。本稿では、このような展開を整理・検討することにより、就業規則を中心とした集団的規範による労働条件の形成・変更を比較的容易に認めている日本の労働条件変更法理の問題点を指摘しつつ、労働契約重視の必要性・可能性を示唆として引き出している。
- 京都府立大学の論文