非行統計の社会的構成と統制側の処遇 : 万引きに対する社会的反作用の実証研究から
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概要
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現代日本の非行統計が万引きの検挙者数に左右されている現実から、科学研究費補助金による調査結果を素材にして、主に次の点を実証的に明らかにした。(1)大型店舗の保安活動が万引きの現認数を規定する傾向にある。(2)少年の万引き事犯がこの間増減してきたのは、大型店舗の営業方針に規定されている。(3)万引き事犯の処遇は説諭尊重型と警察通報型に分かれるが、この間通報率が高まっている。以上の事実から分析と考察を加えた結果、各店舗の処遇類型は、警備実務型、道徳的事業型、少年教育型、経営機能型の4タイプに分けられる。警備実務型は店舗の保安活動を警備会社に委託している場合に多く、警察通報率も高い。90年代後半の万引き再増加現象はこの通報率の上昇によると考えられるが、警察が通報された事犯をいかに処置するかが統計化に影響を与える。少年の更生に効果的な処遇は説諭にあると考えるが、警察通報は実際に再犯を防止する面もある。
- 京都府立大学の論文
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