消費システム整備による商品開発 : 墨田区両国・フットマーク社の事例から
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
商品が消費されるためには,それを消費する消費システムと適合することを必要とする。商品を消費する消費システムとは,その商品とそれを消費することへの社会認知,消費する上での補完財,消費を円滑に行うための社会制度などである。既存の消費システムに適合しないほど画期的な商品は,したがって自らと適合する新しい消費システムの創造を必要とする。つまり社会の側の商品に対する整合性を高めなければならない。商品を供給する企業は,商品それ自体単体に関与するのみでなく,消費システム全体も整備することによって商品と消費システムの双方向からの整合性を高め,商品の普及を促進することができる。具体的にはこの作業はその商品を使用するにあたっての感覚が共通化されていくという形をとる。これによって,現行の消費システムから自由かつ恣意的に商品を企画しても,新しい消費システムを整備するならば,企画が市場の現状から遊離していることで,かえって逆説的に新しい市場を創造し,またそこでの売り手独占の実現も可能になる。この消費システム整備の作業は作業主体によって自由に規模を設定できるので,中小企業の商品開発手法として適している。
- 早稲田大学の論文
- 2004-12-15