自発的な情報開示と自己資本コストの関係 : 複数の情報開示指標とEPレシオによる実証研究
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概要
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本研究は,自発的な情報開示と自己資本コストの関係を実証的に分析する。自発的な情報開示レベルの算定は困難であり,先行研究の多くは,専門機関による評価指標を利用している。その結果,分析対象サンプルが大企業に限られていた。そこで本研究は,情報開示レベルを測定する6つの代理変数(情報開示指標)を考案する。すなわち,決算短信を非集中日に開示する企業,日本インベスター・リレーションズ協議会の会員である企業,株主総会の招集通知を早期に送付する企業,決算短信の開示が早い企業,環境報告書賞に応募する企業,決算短信決議の取締役会開催日と決算短信の公表日が同日である企業は,情報開示が優れていると考える。自己資本コストはEPレシオによって算定される。概して,自発的な情報開示レベルが高い(低い)ほど,自己資本コストは有意に低い(高い)ことが確認された。この結果は,自己資本コストに影響を与える要因である,企業規模,ベータ,長期的な収益性・成長性,産業ダミー,年度ダミーをコントロールしてもなお支持された。さらに,情報非対称性の大きさを外国人持株比率で算定した場合,自発的な情報開示レベルと自己資本コストとの負の関係は,情報非対称性の大きい企業ほど大きいことが限定的ではあるが確認された。
- 2004-12-15
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