戦略リスク・マネジメントによる映画ビジネスの米日比較
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概要
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本稿は、戦略リスク・マネジメント(戦略RM)というわれわれ独自のフレームワークを通して、米ハリウッドと日本映画のビジネス構造を比較することを目的としている。分析のポイントは、映画ビジネスが資本提供者にとって魅力的な投融資対象であるかどうかである。ハリウッドではリスクを限定化し、さらにそれをうまくコントロールするべく事業スキームがすでに業界内で形式知化されている。他方、わが国においては製作委員会方式という形態が一般的である。ハードの視点から判断した場合、両者はリスク分散の利いた共通点の多いモデルであるといえる。しかし、実際に戦略リスクの観点から見ると、あきらかに日本映画の方がリスキーであるといえる。戦略RMは、事前に不確実性の高い状況において、現段階でいかに固定収入をたかめるのか、といったスキーム作りであり、それによってはじめて大規模な資本調達が可能となる。わが国映画産業の飛躍的発展を阻害している主要因が戦略RMの欠如にあるのではないだろうか。
- 2005-09-30
著者
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