関係特殊資源が国境を越えたサプライヤー-メーカー間の関係的交換へ与える影響 : 概念化、測定具の開発および日系多国籍企業における初期的テスト
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概要
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本稿は、国境を超えたサプライヤー/メーカー間の関係的交換(取引)の維持行動の動因を組織間の関係特殊資源のレベルに求める仮説を提示し、検証する実証研究である。サプライヤーとメーカー間の関係的交換に関する既存研究では、組織間において蓄積される製品開発、生産管理に関わる知識、ノウハウ、技術、設備などが生産効率を高めるという命題が理論的、実証的に検討されてきた。しかし、先行研究の多くは日本の自動車産業を対象とした研究であり、また組織間に蓄積される経営資源の国際移転に関する実証研究は数少ない。このような現状を踏まえ、本稿では垂直的な組織間において構築される競争優位に着目し、このような経営資源を競合企業群による模倣困難性を伴う「関係特殊資源」(以下,RSR)として概念化する。その上で本国におけるサプライヤーとメーカー間のRSRが、国境を越えた当該組織間の関係的交換の維持へ正の影響を与えるという仮説を設定し、日系製造企業(海外子会社)を対象としたアンケート調査により実証的に検討する。本稿は当該分野に3つの貢献をもたらす。第一にRSRの概念化及び操作化である。第二に、本国で蓄積されたRSRの国境を越えた移転を検証する調査デザインの構築である。第三に、日系自動車産業のみならず、エレクトロニクス産業等を含む日系製造企業を対象とする調査によって、日系製造企業全体の競争優位に関する理論的、経験的仮定をより一般化する。実証の結果は、本国のRSRの現地国への移転を目的として、本国のパートナー企業との関係的交換が国境を越えて維持されていることを示している。
- 国際ビジネス研究学会の論文
- 2005-09-30
著者
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