1980年代のトヨタの豪州経営 : 組織外部性維持の経営が与えた教訓
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概要
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1980年代トヨタ自動車は豪州で85%と言う世界一厳しい国産化規定の元で現地生産に取り組んでいた。トヨタにとっては国産化規定とは別に、初めての白人西洋社会での本格的現地生産へのチャレンジでもあった。社運を賭けた北米への現地生産をすぐあとに控えたトヨタにとっては西洋社会の労働慣行の中で、西洋の労働者によるトヨタ生産方式が成功するかどうかは大きなビジネスリスクであった。本論はトヨタが経営方式移転について豪州経験からどう学習したか、また学んだことをどう北米に展開して行ったかを考察するものである。トヨタ生産方式およびトヨタウェイと呼ばれる経営管理方式は日本国内でこそうまくいくものの、西洋社会に成功裡に移転可能かどうかは当時大きな課題でありトヨタは極めて慎重であった。「実践を通じて改善を図る企業風土」を持つトヨタ自動車がいかに実験・学習・展開を行ったかを考察することは「経営手法の国際移転」と言う今日的課題を扱うものである。
- 2005-03-31