飾り瓦考 : 屋根の上に広がる世界
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概要
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屋根の上にある鬼面の瓦、鬼瓦は日本人にはかなり馴染みがある。しかし、この鬼面の瓦は一般には寺院などでしか見ることができない。民家の飾り瓦には他の図案のものが存在するのである。また、屋根の装飾は瓦の図案だけではなく瓦の上に置かれた「留め蓋」、「置き蓋」によってもなされる。だがこれも民家では一般的なモノではない。しかし寺、神社という宗教的施設では獅子や牡丹の花などの置き蓋の飾りを見ることができる。だが、調べるうちに一般的な民家でもこの飾りが置かれていることが判る。それらは、獅子や牡丹の花といったものではなく、宝船、七福神、それに波頭といったものによってなされている。七福神や宝船などの屋根飾りの象徴性を分析することから、家という空間を日本人がどのように意識していたかを考察することができる。著者は屋根の飾りの意匠を通して、そこには富の招致もしくは富を護る呪術が隠されていると考えたい。
- 東海学園大学の論文
- 2005-03-31