内なる縛り
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概要
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ここで,問題とするのは,不登校児の一つの特徴として山中があげた「登校強迫」という特徴についてである.この特徴は学校に限らず,「〜しなければならない」という心性をあらわすと考え,筆者はこれを「内なる縛り」と名づけた.この心性について理解を深め,かかわる手がかりを得るため,関連ある心理学知見を取り上げた.まず,フロイトの超自我について書かれた主な論文を,年代順に検討した結果,筆者のいう「内なる縛り」は過酷な超自我といわれるものに相当すると思われた.次に,クラインの早期超自我について検討した.そこでわかったことは,フロイトがあまり発展させなかった超自我の肯定的側面であり,筆者はそれを「内なる守り」と名づけた.その後,分析心理学のアニムス,セルフーケア・システムの考えを提示し,内なる縛りまたは過酷な超自我との類似点,相違点を調べた.これらはともに病理として個人を苦しめる側面とともに,個人を守る側面が存在した.これらの知見は,筆者が内なる縛りを考える上で,多くの示唆を与えてくれた.
- 2005-03-31