社会制度としての市場と企業家活動との相互補完性 : ハイエク・カーズナー・ハーパーの市場=企業家論から
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概要
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企業家論は、「誰が企業家か」を問うものではなく、それを足がかりにして「経済活動の企業家性とは何か」を問うものである。言い換えれば、「企業家的」であるか否かについて問う時、それは経済主体ではなく経済システムの性質を検討することになる。このような問題に対して、本稿で取り上げる議論で共通しているのは、競争という概念から両者の関係性にアプローチしいている点である。より適切な情報や知識が獲得できる競争は唯一市場において可能であるとするハイエクの市場論に対して、未利用の利益機会を巡る競争が企業家的であるとするカーズナーの議論では、利益機会を見いだす上で不可欠な制度として市場が用意されている。カーズナーと同じ市場と企業家活動に焦点を当てるハーパーは、しかし、両者の相互依存関係をより動態的にとらえる。彼は、企業家的学習という概念をもって、経済活動のフィードバックの様式に企業家性を見いだすというカーズナーとは異なる議論を提示する。カーズナーとハーパーの議論から市場と経済活動の「企業家的な関係性」について明らかにするのが本稿の目的である。
- 2004-09-09
著者
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