実験的自己免疫性心筋炎におけるCTLA-4IgGの効果
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概要
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【目的】抗原特異的なT細胞の活性化には,抗原提示細胞のB7ファミリーとT細胞のCD28とを介する副シグナルの存在が必要であるが,可溶性CTLA-4(cytotoxic T lymphocyte associated molecule-4)は副シグナルをブロックすることにより免疫反応を抑制することが知られている.CTIA-4組み替え蛋白の投与あるいはアデノウイルスによる遺伝子導入治療によって自己免疫性疾患モデルや臓器移植時の免疫反応を有意に抑えることが報告されている.実験的自己免疫性心筋炎(以下EAM)モデルは,その発症に抗原特異的T細胞活性が関与しており,アデノウイルスベクターによるCTLA-4遺伝子治療は劇的な効果が最近報告された.我々は同モデルに対し,より簡便な方法であるプラスミドを用いた遺伝子導入治療を行ない,その効果を検討した.【方法】Lewisラットに対しEAMを発症させ,可溶性CTLA-4にラットIgG1のFc部分を結合させたCTLA-4 Igキメラ遺伝子を導入させたpCAGGSベクター(pCAGGS CTIA-4 IgG)を投与した治療群(n=9),対照プラスミドを投与した対照群(n=9)の2群に分けた.ブタ心筋ミオシンで感作させ,同日に尾静脈内プラスミド急速静注投与を行ない,感作17日目に心体重比,組織所見および血行動態を検討した.【結果】対照群に比し治療群では心体重比は有意に小さかった.組織学的には炎症領域の縮小を認め(12.2±13.9% vs.37.4±12.2%),治療群のいくつかは殆ど炎症所見が認められなかった.血行動態ではdP/dTmax(8833±1969 vs. 6034±1344)は有意に治療群で高く,中心静脈圧(2.9±1.1mmHg vs. 5.8±3.0mmHg),左室よ拡張末期圧(7.4±3.3mmHg vs. 11.4±2.5mmHg),dP/dTmin(-8069±2366 vs. -5727±1084)は治療群で有意に低かった.また,ANPのmRNA量は治療群で有意に低かった(0.40×10^5±0.48×10^5分手数/μg total mRNAvs. 3.85×10^5±2.21×10^5分子数/μg total mRNA).【結論】急速静注によるpCAGGS-CTLA4Igによる治療は,心筋炎の発症を強く抑制した.
- 新潟大学の論文
- 2003-09-10
著者
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