傍腫瘍性神経症候群における抗神経抗体の培養神経細胞に及ぼす効果
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概要
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傍腫瘍性神経症候群では腫瘍と神経組織を共通に認識する特徴的な自己抗体が出現する.一般にこれらの自己抗体は神経症状に対応する部位の神経組織に反応し,病初期から神経症状とともに出現することから,抗体が神経障害に直接的に関与すると考えられるものの,本症で出現頻度が高い抗YoあるいはHu抗体のような細胞内蛋白を認識する抗体では疾患の再現ができない.一方,抗Yo/Hu蛋白成分を標的として細胞傷害性T細胞が誘導されることから,神経障害はT細胞によって生じるとも考えられるが,いずれも直接の証拠はない.今回,神経細胞の一次培養系を標的として抗Yo/Hu抗体が長時間作用できる環境下でこれら抗体の神経細胞に及ぼす作用を検討した.その結果,患者血清IgG分画は神経細胞を変性壊死に至らしめることはなく,むしろ細胞接着因子を誘導して分化を促進する方向に作用した.認識抗原の異なるYo抗体でもHu抗体でも効果に差がなく,これらの作用は対応抗原を特異的にブロックした結果ではなく,血清IgG分画に存在する抗体以外の物質である可能性が考えられた.
- 新潟大学の論文
- 2003-07-10
著者
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