<原著>慢性分裂病患者における血小板からの脳由来神経栄養性因子の放出異常
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概要
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脳由来神経栄養性因子(BDNF)は分裂病患者脳,特に辺縁系で増加することが知られている.本研究では分裂病が末梢BDNFに対して及ぼす影響を検討するために,分裂病患者の血清中BDNF量を測定した.血清BDNFレベルは分裂病群でコントロール群に比べ低下していた(Mann-Whitney検定,p<0.001).抗精神病薬の力価と血清BDNFレベル間に関連はなかった.また抗精神薬を慢性に投与したラットにおいて,血清中BDNFのレベルに変化はなっかた.さらにBDNFと同様に血清中へ放出される上皮成長因子(EGF)の濃度を同時に測定した結果,血清EGFレベルと血清中BDNFのレベルの間には関連が認められた.これらの結果は,分裂病においてBDNFをはじめとする神経栄養因子の放出異常がその病態に関係する可能性を示唆している.
- 2002-09-10