四妙勇安湯の連日投与はCD8^+T細胞による抗B16腫瘍免疫反応を誘導する
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概要
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四妙勇安湯は未知の機序ながら, 伝統的な中国医学の概念でいうところの「局所血液循環」を改善する処方である。腫瘍を持つ患者の症状の多くは同様の機序で引き起こされるとその概念では考えられていることから, 我々は四妙勇安湯を使って実験腫瘍の治療を研究することとした。本研究では四妙勇安湯の抗腫瘍効果を, マウスT細胞性リンパ腫のEL4とメラノーマ細胞B16について検討した。その結果, 四妙勇安湯の胃内投与はEL4の増殖に影響を与えなかったが, 2×10^5/匹のB16を皮下移植したマウスでは移植後11日以降の腫瘍の増殖が対照群に比較して有意に減弱し(p<0.048), かつ生存日数も延長した(p<0.0205)。腫瘍内浸潤T細胞亜群の細胞数を免疫組織学的に検討したところ, EL4ではCD4^+T細胞ならびにCD8^+T細胞に有意差はみられなかった。しかし, 四妙勇安湯投与B16移植マウスにおけるCD8^+T細胞は, 有意差はないものの対照群より多い傾向を示した(p=0.097)。この抗腫瘍効果はCD8^+T細胞除去マウスで消失した(p=0.0001〜0.0047)ことから, 四妙勇安湯はCD8^+T細胞を介した抗B16腫瘍効果において重要な作用を発揮しているものと結論した。
著者
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Saio Masanao
岐阜大学 2病理
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Saio Masanao
岐阜大学 脳神経外
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Yu Hai
Second Department Of Pathology Gifu University School Of Medicine
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SAIO Masanao
Second Department of Pathology, Gifu University School of Medicine
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Saio Masanao
Second Department Of Pathology Gifu University School Of Medicine