歯の移動時の圧迫・牽引領域におけるカルシウムの動態
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概要
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本研究の目的は,カルシウム動態を組織レベルで観察することにより,歯の移動時の経日的変化に伴う歯槽骨表面における新生骨の添加過程を明らかにすることである.マウス下顎第一臼歯を1,3,5,7日間頬側へ移動した後,^<45>Ca,カルセインを投与し,凍結切片を作製した.次にオートラジオグラフィ,カルセイン蛍光分布,ALPaseとTRACPaseの酵素組織化学法を用いた.歯を移動しない対照群では,骨,象牙質,セメント質などの全ての硬組織表面が^<45>Caで標識された.実験群では,歯の移動3日目の頬側根尖部牽引領域と7日目の舌側歯頸部牽引領域に,対照群と比較して強い^<45>Caの標識がみられたのに対し,圧迫側骨表面の^<45>Ca標識は常に弱かった.これらの結果は,圧迫領域における組織変化が新たなカルシウムの流入を抑制し,一方,牽引領域における組織変化がカルシウムの流入の増加を促すことを示していた.
- 日本矯正歯科学会の論文