國策としての燃料問題(大正十三年四月六日大阪燃料講演大會に於ける講演)(大阪燃料講演大會講演録)
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概要
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燃料は現代文明に於て吾人生活の中心をなすべき重大なるものてあることは今更喋々するまてもない事柄であるが其重要な程度が餘りに普遍的てあり且瞬時も吾人生活を離るゝことがない爲め恰も空氣と水が人生の生存に最も重要なものでありながら殆んど其重要の度合が一般の入々に感知せられないと同様に燃料の供給に就ては特殊の關係者の外には未だ深く留意せられない嫌がある。然るに燃料は空氣や水と異りて之を容易に得る事は到底不可能であつて、地球上の或る限られたる分量を採掘或は伐採して利用するに過ぎないのである。而も其天然資源の地理的分布は極めて不平均である之に對して各文明國民は如何なる態度を持續しつゝあるのであるか、又我日本國民は如何にして其間に處すべきであるか、蓋し我國策の最大なるものの一である。地理的分布に於て僅に其千分の一を埋藏するに過ぎない我國は何等か適當なる國策を樹てざれば近き將來に於て國民生活上の一大危機に遭遇せんとするのである。演者は國策として我國の燃料問題を攻究することの極めて重大且つ緊急事であることを力説せんとするのである。
- 一般社団法人日本エネルギー学会の論文
- 1924-05-20