情報工学を用いた医療事故院内感染の防止(<特集>院内感染制御への新たな試み)
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概要
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医療施設では情報工学の利用が遅れている.診療報酬計算から始まった利用は,今後,医療事故防止・院内感染防止等のリスクヘッジへと進むであろう.医療事故が起こる際に,直接関与する可能性が高いのは看護師である.事故の約30%は点滴・注射に係わっている.患者にバーコードリストバンドをさせ,投薬をバーコード管理し,処置の際に照合する手法は米国で開発された.間違った患者への投与について91.3%の改善があったと報告されている.無線LANと携帯端末を用い,システムと看護師とでダブルチェックすることにより,医療事故を減少させることができる.感染症の制御は病院にとって重要な問題である.菌情報,菌が同定された後の薬剤感受性の予測,薬剤情報等の診療支援情報が要求されている.治療の際に的確な薬剤情報が得られれば,有効な抗生剤の適量投与が可能となり,ひいては院内感染の防止となる.MRSA等の指定菌検出状況を常にモニターすることにより,院内感染発生時に警告を発し,早期の対処を促すことができる.これらの要望を具現化した感染症コントロールシステムは,感染制御に不可欠なツールとなっている.
- 2004-01-30