伊豆半島東岸浅海域の海胆相
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概要
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伊豆半島東岸浅海域の海胆相について, 次の諸調査を総合して取りまとめた。(1) 著者とその補助者が1971年4月, 1981年2月, 1981年10月に爪木崎, 須崎, 鍋田湾, 城ケ崎海岸において行なった潜水・磯採集を中心とする調査。 (2) 国立科学博物館が1981年10月に日本列島の自然史科学的総合研究の一環として, 筑波大学下田臨海実験センターの調査船「つくば」によって行なった下田沖ドレッジ調査の一部 (St. 3∿6,St. 9). (3) 生物学御研究所所蔵の標本で1972年6月から1975年6月にかけ, 天皇陛下が下田湾, 田の浦, 西島, 爪木崎など15地点から18回にわたって御採集になったものについての分類・分布学的調査。 得られた種は次の28種で, 5目14科に分類された。 Asthenosoma ijimai, Diadema savignyi, Diadema setosum, Temnopleurus toreumaticus, Temnopleurus reevesii, Mespilia globulus levituberculatus, Temnotrema sculptum, Toxopneustes pileolus, Tripneustes gratilla, Pseudoboletia maculata, Pseudoboletia indiana, Hemicentrotus pulcherrimus, Pseudocentrotus depressus, Echinostrephus aciculatus, Anthocidaris crassispina, Echinometra mathaei, Clypeaster japonicus, Fibularia japonica, Fibularia sp., Fibulariella acuta, Echinocyamus crispus, Peronella japonica, Astriclypeus manni, Schizaster lacunosus, Brissus agassizii, Brissus latecarinatus, Pseudomaretia alta, Lovenia elongata. 上記の内, マメウニの一種 (Fibularia sp.) は未記載種であり, マダラウニ (Pseudoboletia maculata) とミナミオオブンブク (Brissus latecarinatus) は新たな北限分布の記録であり, Pseudoboletia indianaについては日本近海での分布の初記録である。 海胆相は全体として種数の上では熱帯要素が60.7%, 暖温帯要素が35.7%, 冷温帯要素が3.6%で, 熱帯要素が優占しているかに見えるが, 生息数の点では温帯要素の比率が遥かに高く, 温帯系種の内, 特にムラサキウニとバフンウニは極めてふつうに見られ, ヨツアナカシパン, タコノマクラ, アカウニ, オオブンブクなども多数生息していることが分った。熱帯系種の内, ガンガゼ, アオスジガンガゼ, ラッパウニの生息数は多いが, ナガウニ, シラヒゲウニ, マダラウニ, ミナミオオブンブクは少なく, 熱帯海域にふつうのトックリガンガゼモドキ, ガンガゼモドキ, クロウニ, パイプウニ等は調査を通じて1個体も見出されなかった。
- 国立科学博物館の論文
著者
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