<原著>高機能自閉症の子をもつ母親の障害受容過程に関する研究 : 知的障害を伴う自閉症との比較検討
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概要
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"高機能自閉症は知的発達に著しい遅れが見られないために発見されにくく,そして障害特性から本人は家族からでさえ理解されにくい,受け入れられにくいという独自の困難性をもつ.このような状況にある高機能自閉症の子どもをもつ母親が,どのように子どもを受け入れていくのか,その障害受容過程を明らかにすることにした.調査内容は(1)個人の属性,(2)母親の心理過程,(3)周囲の人の子どもの障害に対する理解について,(4)医療・福祉機関との関係の有無についてである.また,特徴を明らかにするために知的障害を伴う自閉症との比較を行った. 調査の結果,知的障害の有無という大きな違いをもちながらも,仮定していた障害受容段階を単純には進んでいないことや,その過程で感じられている気持ちの内容にそれほど差はないということが明らかになった.さらに,子どもを育てていく環境として重要である周囲の人の障害に対する理解についても共通して得られにくい状況であることが分かった.これらは「自閉症」という共通部分が影響していると考えられた.高機能自閉症の場合では,「子どもが障害であるのかないのか収拾がつきにくい」という気持ちを特徴的に感じていた.また,障害が分かった時のショックである「精神的打撃」が,知的障害を伴う自閉症に比べ,かなり遅い時期に感じられていることが分かった.このような状況の中で,母親は医療機関以外の専門的な機関に相談することも少なく,親の会といった当事者グループに多く頼っている傾向が見られた."
著者
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