ニューロトロフィンによる神経分化の制御機構に関する研究
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概要
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ニューロトロフィンは発生から老化に至る長期間にわたり神経細胞に作用し、生存維持、分化促進、神経機能の獲得・維持などの役割を担う神経栄養因子と考えられている。神経細胞の分化に及ぼすニューロトロフィンの作用は数多く研究されてきたが、その多くは神経分化の後期過程を対象としており、全貌の解明には程遠いのが現状である。そこで本研究では、神経分化のモデル細胞として繁用されるPC12細胞および多分化能をもつ神経幹細胞を用いて、初期神経分化過程におけるニューロトロフィンの作用を検討した。その結果、ニューロトロフィンの一つであるNGFは、p75を介してPI-3キナーゼ/Akt経路を活性化し、分化に先立って増殖停止を誘導すること、また、ニューロトロフィンが神経幹細胞から神経細胞への分化をプライミングすることを明らかにし、ニューロトロフィンが神経分化の初期過程の制御にも深く関わっている可能性が示唆された。
- 岐阜薬科大学の論文
- 2004-06-30