ラット摘出灌流肝におけるアナフィラキシー反応の検討
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概要
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[研究目的]アナフィラキシーショックは臨床において稀にではあるが,致死的ともなる病態であり,その機序に肝病変の関与が指摘されている。そこでアナフィラキシー機序の解明として,ラット肝アナフィラキシーの血管収縮部位と肝重量の変化,さらに責任細胞について検討した。[実験方法](1)感作したSDラット摘出肝臓を定流量灌流した。肝重量の変化と共に肝類洞圧を血管閉塞法で測定し,前類洞抵抗と後類洞抵抗を求めた。(2)SDラットにKupffer細胞機能を抑制する塩化ガドリニウム(GdCl_3)またはリボソーム含有クロドロネート(Cl_2-MDP)を前処置して同様の検討をした。(3)肥満細胞欠損ラット(Ws/Ws)とその正常野生種ラット(+/+),さらに,これらのラットにGdCl_3を前処置して同様の検討をした。[結果](1)抗原投与で前類洞優位の血管収縮がみられ,肝重量は減少した。(2)GdCl_3,あるいはCl_2-MDPを前投与しても肝アナフィラキシー血管収縮に影響はみられなかった。(3)+/+ではSDラットと同様の前類洞優位の血管収縮がみられた。Ws/Wsでも血管収縮がみられたが,その血管抵抗の増加は+/+の10%であった。[総括・結論]ラットアナフィラキシーの肝血管収縮は腹腔内臓器の欝血を引き起こし,循環血液量を減少させることから,血圧低下の一因となう可能性がある。また,ラット肝アナフィラキシーにKupffer細胞は関与しない。これに対し,肥満細胞を欠くWs/Wsでは血管収縮反応が弱いことから,ラットの肝アナフィラキシー反応はほとんど肥満細胞を介すると考えられた。
- 金沢医科大学の論文
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