皮質白内障眼の光学特性と視機能 : 白内障治療指針との関連
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概要
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目的:皮質白内障の混濁程度と視力以外の視機能の関係を検討した。対象:遠距離矯正視力1.0以上の正常155眼,皮質白内障110眼および眼内レンズ(IOL)挿入術後の19眼を対象とした。年齢は35〜82歳。皮質混濁は明所瞳孔径3mm,暗所5mm,極大散瞳6.5mmを基準として5混濁程度群に細分した。方法:Point Spread Function(PSF)計測から眼光学性能を,実生活シミュレート環境での視機能をコントラスト感度(CSF)から評価した。皮質混濁は徹照像,水晶体軸上の透明性は後方散乱光強度より評価した。結果:眼光学性能は全て加齢に伴い低下し,皮質混濁が瞳孔径5mm以内に侵入すると,正常群より有意に低下した。IOL群の性能は正常群と同等であったが,皮質白内障眼で有意差を認めたのは中心混濁群のみであった(一般化線形モデル,Tukey-Kramerの多重比較,P<0.05)。中心混濁群のCSFは全視環境で正常およびIOL群より有意に低く,瞳孔中心に混濁がなくても,瞳孔3mm内に混濁が存在すると,夜間ドライブ時のCSFに有意な低下を認めた(一元配置分散分析,Tukey法,p<0.05)。結論:虹彩下の混濁は視力以外の視機能低下原因となる。瞳孔径基準の視機能評価は,白内障患者マネージメントの一つの指針になり得る。