COX-2とがん
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概要
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シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)はアラキドン酸からプロスタグランジン合成への律速段階を調節する酵素で,シクロオキシゲナーゼの誘導型アイソザイムである。COXにより各細胞の働きに応じた各種プロスタグランジン(PGs)が産生され,G-タンパク共役受容体や核内受容体であるペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体(PPARs)を介してシグナル伝達が行われ,種々の生理作用が示される。またCOX-2の誘導により,その基質である細胞内アラキドン酸の量が変化することも細胞機能に影響を及ぼす。COX-2を介した作用として,細胞の増殖,運動性,接着,アポトーシス抑制の亢進などが明らかにされてきたが,それらの作用機序は,いまだ不明な部分が多い。動物実験では,COX-2発現により腫瘍増殖の亢進やCOX-2経路阻害により発がん抑制が見られるなど,COX-2の発がんへの関与が示唆され,従来の非ステロイド系抗炎症剤に加えて,COX-2選択的阻害剤による発がん予防や再発予防を目指した臨床応用に興味がもたれている。特に,COX-2の高発現が大腸がんでみられることから,COX-2選択的阻害剤を利用した大腸がんの予防や治療への応用が期待され,その臨床試験も実施されている。
- 金沢医科大学の論文