耳介軟骨のTissue engineeringにおける軟骨細胞採取部位の検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究では,耳介の軟骨再生における至適な軟骨採取部位の検討を行った.実験では,仔牛の4部位(鼻中隔軟骨,関節軟骨,肋軟骨,耳介軟骨)を軟骨細胞の採取部位として選択した.実験1では,各軟骨細胞をin vitroにて培養し,細胞増殖能および基質産生能を比較検討した.その結果,細胞増殖能は,鼻中隔および肋軟骨において高く,関節軟骨は低い傾向を示した.一方,基質産生能の検討では,肋軟骨および鼻中隔において高く,耳介軟骨では著しく低い傾向を示した.実験2では,生分解性ポリマー(PLLA/PCL 50:50,円板状およびヒト耳介形状)に各軟骨細胞を播種し,ヌードマウス皮下において軟骨の再生誘導を試みた.円板状ポリマーを用いた結果,新生軟骨組織において,耳介軟骨細胞に由来する軟骨では直径が増加し,鼻中隔,関節,肋軟骨細胞に由来する軟骨では,厚さが増加することが判明した.一方,ヒト耳介形状ポリマーを用いた結果,耳介の三次元形態は鼻中隔,肋軟骨,耳介軟骨細胞に由来する新生軟骨組織において良好に維持された.特に,耳介軟骨細胞の基質産生は,in vivo環境下において先進していた.さらに,耳介軟骨細胞に由来する軟骨基質には,弾性線維が含まれ,正常耳介軟骨の性状に極めて近似していた.これらの結果より,耳介軟骨再生においては,耳介軟骨が至適採取部位であり,再生誘導するには,細胞採集量の増加に加え,移植環境が重要な因子であることが示唆された.
- 2003-11-25
著者
関連論文
- 眼窩底の再建に対して骨膜・生体分解性ポリマーを用いた1例
- 高齢者における顔面骨折手術症例の臨床的検討
- 3次元レーザー形状計測装置を用いた広背筋弁による乳房再建の整容性の評価
- 指尖部切断術後に生じた Cold intolerance に対するPGI_2の治療効果
- 指尖部切断術後に生じた Cold intolerance に対するPGI2の治療効果
- 耳介軟骨のTissue engineeringにおける軟骨細胞採取部位の検討
- 踵部における軟部組織再建術式と問題点