MM理論の反証(田村茂教授退任記念号)
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概要
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MM理論の命題Iは投資家の合理的行動,完全市場といった新古典派的仮定から論理的に導かれる理論的命題である。しかしながら,現実の市場は完全市場ではなく,取引費用,税制,破産コストといった不完全要因が存在する。このようななかでMM命題をテストするためには,不完全性を取り込むかたちで理論を修正しなければならない。そのような修正の一つとして,Tax Shelter-Bankruptcy Costモデルがある。ここでははじめに,TS-BCモデルの予測を定式化した。(1)企業資産の流動性が高まると,最適レバレッジは上昇する。(2)法人税率が高まると,最適レバレッジは上昇する。(3)収益性が上昇すると,最適レバレッジは上昇する。(4)リスクの上昇については,法人税率が高く,破産コストが低い場合には,最適レバレッジは上昇し,逆の場合には低下する。これらの予測のうち,験証されているといえるのは,(1)であり,(2),(3),(4)については験証されているとはいえない。むしろ,(3)は一連の経験的研究によって反証されていると言わざるをえない。
- 慶應義塾大学の論文
- 1994-04-25
著者
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