制度的視点から見た企業行動とその進化 : ルーティンを分析対象として
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概要
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現代のように巨大化して,高度に複雑化した組織体である企業においては,企業それ自体が一つの「制度」としての特徴を有している。すなわち,企業の構成メンバーは,トップから常に詳細な指令を受けるわけではなく,通常,企業内における規則や,規範といったものに依拠し,また制約を受けて行動するという側面を有している。 したがって,現代的な企業行動の特性を明らかにするには,企業のもつ制度的側面に留意することが必要となる。本稿では,上述のような問題意識に立ち,企業の構成メンバーが日々行使する「ルーティン」に注目し,これを分析対象として,企業の動的プロセスの解明を行っていくことを目的としている。立論としては,大きく二つに分けられる。前半において,先ず,本稿で使用するルーティンの概念を明確にする。併せて,ルーティンが効率性と安定性を高める側面があると同時に抑制的に働く側面があることを指摘し,ルーティンのもつ二重性を検討する。後半においては,企業の外部環境要因を取り入れ,環境の違いにより企業はいかにそれに対応していくのかを,とくにルーティンのもつ「慣性」に対して,いかに「変換」を図るかという視点から考察する。さらに,時間軸を考慮に入れ,企業が時間の経過とともにいかに進化の軌道を歩むかについて検討して,企業の動的プロセスを考察する。
- 慶應義塾大学の論文
- 1994-02-25