肺癌の内視鏡所見における粘膜下主体型所見の成立機序に関する臨床的研究
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概要
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肺癌は内視鏡所見より, 粘膜主体型と粘膜下主体型の所見に分けられる。粘膜下主体型は特殊な組織型を除き, 一般にはIII次気管支より末梢発生の肺癌が肺門側に増殖浸潤してはじめて観察される所見である。粘膜下主体型の内視鏡所見を示す例の切除肺の病理組織像から, 筆者は, 「正常粘膜襞」「起伏のある粘膜」「圧縮強調された異常粘膜襞」「粘膜上皮下浸潤」「気管支壁外からの圧排像」の5型を分類した。内視鏡的に異常を示す後4者は, 癌浸潤の部位と程度によって, 異なった所見を示すことが認められた。しかし, これらの病的所見を示すものはいずれも, 領域リンパ節転移の存在を疑わせる所見である。さらに, 異常所見の観察された気管支次数と臨床病期, 手術適応の判定との間には相関性が認められた。葉気管支より中枢側に観察される粘膜下主体型の異常所見は, 多くの場合病期III, IVを示唆する。同様に, 区域支より末梢側の異常所見は病期II, IIIを示唆する。粘膜下主体型所見を中間幹, 葉支に観察する場合は, 手術可能例と不能例がみられるが, 区域支より末梢側に所見を認める例は手術可能と考えてよい。粘膜下主体型の内視鏡的解析は, 肺癌の診療に有用な情報を提供する。
- 日本呼吸器内視鏡学会の論文
- 1986-03-25
著者
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