拡張型心筋症におけるβ遮断薬療法
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概要
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拡張圧心筋症(DCM)22例にβ遮断薬少量長期投与療法を施行し,本療法の心症状,心機能,不整脈並びに予後に対する有用性をβ遮断薬非投与のDCM26例(nonβ群)の臨床経過と比較検討した。1. メトプロロール投与後6ヶ月以内に3例が心不全症状悪化のため脱落したが,残る19例(s群)には本療法の長期継続投与が可能であった。2. 平均27ヶ月の経過観察中β群の2例(11%). nonβ群の10例(38%)が死亡した。また残る生容例のNYHA心不全重症度は,β群の4例が改善し,惑化例はなかったが. nonβ群では改善及び悪化がそれぞれ2例にみられた。3. 経過中β群の心内径は有意に縮少,収縮能及び運動耐容能の指標も有意に改善したが,nonβ群のこれら指標のいずれにも改善がみられなかった。4. 24時間モニタ一心電図上,β群では心室性期外収縮数及び2連発数が有意に減少したがnonβ群のこれら不整脈のいずれにも有意な変化はみられなかった。Lown分類不整脈重症度の改善はnonβ群に比し,β群でより多く観察された。5. Kaplan-Meier法にて算出したβ群の生存率曲線はnonβ群に比し有意に良好であった。6. 以上の如く,DCMに対するβ遮断薬療法は有用であるととが認められた。
- 神戸大学の論文
- 1989-09-12