大動脈脈波伝播速度の臨床的意義
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概要
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緒言:侵襲的脈波伝播速度(I-PWV)を用いて,(1)大動脈の部位による動脈硬化の相違,(2)血管コンブライアンスとの関連,(3)大動脈硬化度と冠動脈硬化度との関連について検討した。対象:男性52例・女性8例で年齢は37〜60才であり,IHD群43例とNon-IHD群17例に分けて検討した。2群間に年齢差は認めなかった。方法:I-PWVとして,全大動脈(IW-PWV),胸部大動脈(IT-PWV),腹部大動脈(IA-PWV)を算出した。血管コンプライアンスの指標として,Tarazi's Index (PP/SV)とDiastolic Blood Pressure Decay(DBPD)を用い,冠動脈狭窄指数(CSI)としてBalcon法を用いた。結果:IHD群のI-PWVはNon-IHD群よりも有意に速し動脈硬化度が高いととが示され,IHD群ではIA-PWVの方がIT-PWVより有意に速かった(P<0.05)。また,IHD群の方がNon-IHD群に比べて有意に血管コンプライアンスは低下し,IW-PWVはTarazi's Indexと有意な正相関(r=0.589, p<0.001)が,DBPDと有意な負の相関(r=-0.582,p<0.001)が認められた。IA-PWVはCSIと有意な負の相関(r=-0.483,p<0.001)が認められ,IAPWV7.5m/sec以上を異常とすると,冠動脈疾患に対して,Sensitivity 63%・Specificity 77%であった。結論:(1)大動脈の部位により動脈硬化の進展速度に差異がある。(2)PWVは血管壁硬化を反映している。(3)PWVより冠動脈狭窄の程度を予測できると考えられた。
- 神戸大学の論文
- 1989-09-12
著者
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