カルシウム及びマグネシウム経口投与の降圧効果ならびに内因性オピオイドペプチドの関与
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概要
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近年,高血圧の非薬物降圧療法としてカルシウム(Ca)及びマグネシウム(Mg)の経口投与の有用性が報告されている。今回,DOCA食塩高血圧ラットを対象にCa及びMgを投与し,その降庄効果に対するβエンドルフィン(β-END)の影響について検討した。方法は4週齢の雄WKYラットを片腎摘出し4群に分け,7%NaCl食(Control群),7%NaCl+2%Ca食(Ca群),7%NaCl+0.5% Mg食(Mg群),7%NaCl+2%Ca+0.5% Mg食(Ca/Mg群)にて飼育し,DOCA処置を施した。4週後半数を断頭し赤血球内ナトリウム濃度(RBC-Na),視床下部β-END含量を測定した。残りの半数にはopiate antagonistであるnaloxone(2mg/kg) を腹腔内投与しその前後の血圧を測定した。結果は以下の通りである。Control群に比し他の3群において,血圧の上昇は有意に抑制され,RBC-Naは低値,また視床下部β-ENDは高値を示した。またこの傾向は,Ca/Mg群においてとくに著明であった。RBCNaは血圧と正の相関をβ-ENDとは負の相関を示した。最終週の尿中ナトリウム排泄量はControl群に比し他の3群で大の傾向を示し血圧と有意な負の相関を示した。Naloxone投与によりCa群とCa/Mg群において有意な血圧の上昇を認めた。以上の結果よりCa・Mgの経口投与の降圧機序には細胞内ナトリウム貯留減少とナトリウム利尿が関与することが認められ,中枢におけるβ-ENDもまた関与する可能性が示唆された。
- 神戸大学の論文
- 1989-09-12
著者
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Hattori Kaoru
The First Department of Internal Medicine, Kobe University School of Medicine
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服部 かおる
神戸大学第一内科
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