公開鍵認証基盤に基づく電子チケットの理論
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本論文では,紙などで作られたチケット,例えばイベントの入場券や交通機関の乗車券などを情報処理装置の状態として表現する電子チケットを提案する.その際に前提とするのは,チケットはユーザがその所持を示すことで,チケットの権利内容が示され,ユーザが権利者として認証されるということである.更に権利者として認証されるユーザはチケットの譲渡によって変更が可能である.チケットの譲渡を可能にするには,その正当性を検証するために,チケットを受け取り得るすべてのユーザから権利者の認証が行える必要がある.このような認証には公開鍵認証基盤(PKI)を使えばよいが,ユーザとの関係が固定的な鍵で認証を行えば,ユーザごとの使用履歴が追跡可能になるため,匿名性を損ないやすい.この点を解決するために,特定の権利の権利者の存在を示す権限を考え,それを認証する鍵を導入する.この鍵とユーザの関係は固定的ではなく,権利者であるユーザだけが利用できるようにチケットの譲渡に伴ってユーザ間を移動する.この方法は紙チケットの電子的アナロジーになっており,電子チケットに譲渡性と匿名性を自然に実現できることがわかる.
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 2002-11-01