腎不全血液透析治療患者の貧血の特徴と鉄剤、蛋白同化ステロイド剤、Vitamin B12_治療の効果について
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概要
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慢性透析患者の社会復帰をさまたげる要因の1つに貧血がある。これらの長期透析症例の貧血は正球性低色素性の高度の貧血を示した。しかし,血清ferritinは著減するものが多く,潜在性に鉄欠乏のパターンを示していた。そこで鉄剤,蛋白同化ステロイド,vitamin B_<12>治療の効果と血清中のerythropoietin並びに赤血球2,3-diphosphoglycerateの変動を調べた。長期透析中の8症例について,各々2ヶ月間,鉄剤,蛋白同化ステロイド,vitamin B_<12>の投与を各1ヶ月間の観察期間をおいて施行した。患者の平均年令は54才,平均透析期間は6年1ヶ月であった。鉄剤投与が貧血の改善に有効であったが、蛋白同化ステロイドおよび, vitamin B_<12>の有効性は認められなかった。また,血清中erythropoietin値に変化はみられなかった。赤血球2,3-diphosphoglycerateは,蛋白同化ステロイド剤投与によって有意の低下を示した。以上の結果,長期透析症例の貧血改善に投与量,投与期間を考慮すれば鉄剤は有用な薬剤と考えられた。
- 神戸大学の論文