ラット脳腫瘍細胞株9LおよびACNU耐性亜株9L/R細胞におけるHa-ras遺伝子の解析
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概要
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穀内らによって9Lラット脳腫瘍細胞から分離されたACNU耐性細胞株(9L/R細胞)はACNUのほかにもBCNU,CCNUなどほかのニトロソウレア系抗癌剤にも耐性を示した。9L細胞にはrob(1 ; 6),9L/R細胞にはt(1 ; 6) という1番と6番染色体に関連した共通の染色体異常が見られ,また,それぞれの正常および異常染色体の1q43の部位にHa-ras遺伝子が局在していた。両者の細胞ではラット正常脳組織に比べHa-ras遺伝子の転写亢進を認め,9L/R細胞ではACNU作用後Ha-ras遺伝子発現が約12倍に増加した。さらに,制限酵素MspIとHpaIIを用いたSouthern blotでは,9Lと9L/R細胞の間にHa-ras遺伝子のメチル化の状態に差が認められた。