わが国における歯科受診状況および診療内容の推移 : 1994年以降における診療行為別診療報酬額の分析を中心として
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概要
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今後の歯科医療の方向を探るための基礎資料を得る目的で, 歯科受診状況および診療内容の推移について診療報酬額を中心に分析を行った.歯科疾患の有病者率に比べて有訴者率や通院者率は低く, 自覚症状がなければ受診行動には結びつきにくいと推察された.受診状況をみると, う蝕や歯髄炎などが減少して歯周疾患が増加していた.患者の大半が治療目的で受診しており, 歯科健診を目的とした受診は総数の1%に満たなかった.ただし, 約2割の者は過去1年間に健診を受けた経験があった.診療報酬額は, 1990年代後半から, 修復・補綴がほぼ横ばい, 処置・手術や検査・画像診断などが減少傾向にあったが, 指導管理料は, 保健指導や予防管理に重点を置いた近年の診療報酬改定を反映し, 顕著な伸びを示していた.回帰モデルを用いた分析の結果, 指導管理料は, 前年の診療報酬総額よりも前年の指導管理料の影響を強く受けて着実に増加してきたことが示された.療養の給付を主たる対象とする現行の医療保険制度において, 診療報酬改定を通じて予防的診療行為の増加が誘導されてきたことから, こうした政策が定期受診による口腔保健の向上を促進する可能性が示唆された.また, 歯科疾患の有病者率と有訴者率には依然格差があり, 歯科を受診した患者に対しては通院の機会を捉えて定期歯科健診を勧め, 自覚症状のない人々に対してはさまざまな機会に早期の歯科受診を促すことが必要と考えられた.
- 有限責任中間法人日本口腔衛生学会の論文
- 2005-10-30
著者
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