財務報告の国際比較に関する一考察 : 航空会社のファイナンス・リースを例として(守永誠治教授退任記念号)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
現在IOSCOの積極的な支援をうけて進展しているIAS作業プロジェクトの狙いは,財務諸表の国際的比較を高めるために,現行IASで認められている会計処理の自由な選択を除去することであり,同一の財務諸表で,数多くの証券市場で資金調達を可能にすることを目標にしている。その目標に照らして,IAS実用段階における会計の調和化は何処まで可能か,その限界は如何なる要因に左右されるのか,を考察するのが,本稿の目的である。年次報告書が国際的に配布される可能性が強い航空会社を例にとって,ファイナンス・リースの会計処理をアメリカ,イギリス,フランス,ドイツ,日本の5ヵ国とIAS 17において比較してみた。結論としては,(1)ファイナンス・リースに関する5つの国の会計処理を比較してみて理解できるように,IOSCOにバックアップされた改訂IASは,その適用を国際金融市場で資金を調達する多国籍企業に限る場合に,まず実用化が可能となる。また,(2)IOSCOメンバーである証券取引所の上場要件に合った財務諸表を作成して,資金調達をする企業の費用と便益との比較で,改訂IASの実用化の度合いが決まってくる。
- 1993-02-25