国際会計基準第31号(ジョイントベンチャーに対する持分の財務報告)の国内基準化における基本的視座 : 我が国におけるジョイントベンチャーの諸形態を中心に(守永誠治教授退任記念号)
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概要
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本稿は,国際会計基準第31号(ジョイントベンチャーに対する持分の財務報告)の国内基準化を検討する場合に,特に注目しなければならない諸項目を指摘する。まず,国際会計基準第31号を概観する。そこにおいて注目すべきことは,ジョイントベンチャーの概念規定を,共同支配の存在に求めているところである。我が国において,共同支配が存在する組織形態を対象とするならば,ジョイントベンチャーとして設立された株式会社ばかりでなく,建設業共同企業体や中小企業組合や第3セクターにも焦点を当てる必要がある。これらの諸形態を体系的に論じていく上で,問題を複雑にしているのは,それぞれのジョイントベンチャーが個別の法律制度にあてはめられ,別個に体系付けられているというところである。したがって,必然的に縦割型の制度にしばられ,横断的に論ずることが困難になってくる。我が国の現状を検討していく上では,それぞれの形態を場合分けしながら,会計処理が変化してくる原因を究明しなければならない。こういった基本的観点から,まず,我が国の連結財務諸表制度の枠組においてジョイントベンチャーに関する規定を基準化する場合の問題点を検討する。その議論を前提に,我が国における多様なジョイントベンチャーを挙げながら,その特質を検討していく。その際,ジョイントベンチャーが,法人か非法人か,納税義務者か非納税義務者か,営利組織か非営利組織か,といった論点を考察しながら,連結か個別かという問題にも論及していく。
- 慶應義塾大学の論文
- 1993-02-25