社会福祉法人経理規程準則の論理 : 施設会計を中心として(守永誠治教授退任記念号)
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概要
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昭和28年3月に厚生省から「社会福祉法人の会計について」という通知(社乙第32号)が出され,長い間,社会福祉法人は,その通知に基づいて会計活動が行なわれて来たが,昭和51年1月新らしい通知(社施第25号)が発せられ,社会福祉法人の会計は飛躍的に近代化された。その後も,相ついで通知が発せられ,益々改善されているが,十二分に理論的な解明が行なわれていない点も多々あり,現場での吸収にいささか難点が見られる事もある。そこで,本稿は,その理論的解明を試みたものである。消費経済体として,社会福祉法人が,受託者会計という特色のある会計活動を行なうので,そこから種々の専門的理解や技術を必要とすることも生じて来る。資金の収支計算と財政状態を示す貸借対照表の作成が意図されているが,発生主義を採用し複式簿記に基づいた会計が求められている。引当金の計上は,発生主義会計では,当然生じて来るものの,その性格についての理論的解明が乏しく,一部の現場に混乱が認められるので,この点流動負債としての引当金も存在することを確認する事が必要とされるであろう。運用財産と切り返しの仕訳の役割について,さらに繰越金についても,予算(及び補正予算)との関連において十分考察するべきである。
- 1993-02-25