開心術における回収式自己血輸血法に関する臨床的研究
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概要
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関心術症例65例を対象とし,Cell Saverを用いた回収式自己血輸血法の有用性を臨床的に検討した。術野出血および体外循環回路残留血をCellSaverを用いて遠心分離,洗浄処理し,体外循環終了後に洗浄濃厚赤血球液として返血した。Cell Saver使用症例35例を2群に分けI群は完全無輸血手術を行い得た8例,II群は同種血輸血を必要とした27例とした。III群はCell Saver非使用症例30例で,これを対照として比較検討した。返血された洗浄濃厚赤血球液は平均897mlで,平均Htは51.6%であった。CellSaver使用症例35例中8例(23%)において完全無輸血関心術が達成され,輸血例においても平均34%の同種血が節減された。これによって輸血後非A非B型肝炎の発生率は,Cell Saverを用いなかった場合の20.2%から7.4%に低下した。CellSaver使用例における術後出血量の増大は認められず,凝固線溶系の変動も非使用例と差がなかった。さらに,Cell Saverによる同種血輸血節減は,腎機能庇護の面からも有用であり,かつ術後早期の免疫能の低下も認められなかった。
- 神戸大学の論文