産業構造の変化に伴う地域公設試験研究機関の変遷 : 農村工業系公設試を事例として
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概要
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近年, 技術のソフト化, 業際技術の進歩, 新産業の勃興等により産業構造が急速に変化している。地域の公設試験研究機関(公設試)は, 産業構造の変化に伴い新たな行政需要に対応するため, 機関・組織を改編することが求められる。産業構造変化に対応して公設試がとるべき試験研究方針を明らかにするため, 昭和10年から終戦直後にかけて全国各地に設立された農村工業系公設試を事例として検討した。日本の農村工業は, 戦前は農村恐慌を, 終戦後は食料難・工業の崩壊を背景に発展したが, 昭和20年代の末から食品工業の復興に伴い急速に衰退する。「農村工業から食品工業へ」という産業構造の変化に伴い存在意義を喪失した農村工業系公設試のうち, 農村副業, 食生活の改善など工業的要素のない試験研究に傾斜した公設試は消滅するに至るが, 工業的な試験研究あるいは工業と補完関係にある試験研究に重点を置いた機関は存続し, そのとった手法により様々なタイプの公設試に発展している。このような事例から, 産業構造変化の下で, 公設試の試験研究方針が, 公設試の改編の態様(消滅か存続か, 存続後のタイプ)を分ける要因として機能していることが明らかになった。
- 2005-11-30
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