時間と人々の価格変動リスクに対する認知特性
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概要
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株式、債券といったリスク資産に投資をする場合、その意思決定においては将来のリターンとリスクが重要な要素となる。ところで後者のリスクの大きさに関しては、従来のファイナンス理論で評価されるものが必ずしも市場の実態に合っていないことがしばしば指摘される。問題は大きく2つに分けられる。一つはファイナンス理論におけるリスク計測方法の問題である。リスクをすべて1期間で評価しうるものではないという議論である。これについては最近多くの研究がなされるようになった。もう一つは過去データから客観的に推計される将来のリスク量と人々が感じるリスク量とが必ずしも一致しないという問題である。ファイナンスの理論で扱われる証券の価格変動はウィナープロセスを仮定するため、その将来のリスクの大きさは時間の√<T>倍いわゆる"√<T>ルール"に則って拡大するとされる。ところが人々が感じる将来のリスクというのは遠い将来のものほど過小評価されるという傾向を見ることができる。それは人々の将来リスクに対するアンケート調査等で確認することができた。それではなぜそのような傾向(リスクに対する認知特性)が生じるのか、本研究ではその理由としてランダムさ等に対する人々の認知傾向から考察を行ってみた。なお、こういった人々のリスク認知特性は実際の人々の投資行動に表れ、その結果として市場価格形成にも影響を及ぼすことになる。そこで本稿ではその具体例として先物、オプションといったデリバティブ市場価格に見られる実勢価格の歪みを中心に、いくつかの事例を紹介することとした。
- 2003-09-03
著者
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