新生児腎不全例に対する continuous hemofiltration の応用 : 腎不全モデルを用いた実験並びに自験例6例の検討
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概要
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新生児の腎不全例に対してcontinuous hemofiltration(以下HF)を応用すべく実験的検討を加え,さらに6例の臨床例に対しHFを施行した。装置はpolysulfon膜製,膜面積0.02m^2,限外濾過率16.0ml/hr/mmHgのhemofilterを用い,総充填量は20mlとなった。実験では両側腎を摘出した平均体重5kgの腎不全モデル犬20頭にHFを12時間施行した。HFによりBUNは87.4±5.1mg/dlから36.4±6.0mg/dlに,クレアチニンは4.2±0.5mg/dlから2.4±0.4mg/dlに有意の低下を認め,血清Kも5.4±0.4mEq/1から3.6±0.4mEq/lに低下した。HF施行中の血行動態は安定しており新生児に応用可能であると考えられた。1987年7月から1990年8月の間に急性腎不全を合併した新生児6例(平均体重1823g)にHFを施行した。HFの施行時間は平均55.7時間(8〜144)で,除水量は平均4.3ml/kg/hr(1.0〜7.7)であった。HF施行の前後でBUNは53.0±31.4mg/dlから42.8±29.0mg/dlへ,クレアチニンは3.2±1.7mg/dlから2.5±1.1mg/dlへ減少し,Kは5.2±2.6mEq/lから4.9±1.6mEq/lへ改善した。体重もHF施行前の92.7±9.3%に減少した。HF施行中の血行動態は安定していた。腹膜透析例と比較して, HF例がクレアチニン,体重の有意な減少が認められ,血行動態もより安定していた。HFは新生児,未熟児の腎不全例の管理に於て安全かつ有効な方法であると考えられた。
- 神戸大学の論文
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